俺は 生きている





廻転している



運命が 歯車だというのなら


俺は それを廻した張本人



そして





止めた張本人





『The story begins』



「いっちごー!!!!!!!忘れんなよ!?今日の夜19時に鳴木市にあるあのレストランだからな!!」
「レストラン?ただのファミレスでしょ」
「気分的にいいじゃないかレストラン!!ファミレスって夢ねえな!!」
「その夢がないところで僕達集まるんでしょ?」
「水色ーーー!!それは言っちゃダメーー!!!!」



7月15日 16:30


啓吾と水色とそんな話をしながら一護たちは下校している。
今夜、啓吾の提案でみんなで外食をすることになったのだ。



7月15日、一護は今日で17歳になった。




「一護は良かったの?妹さんとかケーキ作って待ってるんじゃない?」
「多分な。でも行く前に食って行けば問題ないだろ」
「外食するのにケーキ食べてから来るの!?一護ってあんま太るの気にしないタイプ?」
「男がそんなの気にしてどうすんだよ。むしろ水色、お前は気にしすぎだろ」
「いいんだよ僕は。細いことに誇りを持ってるんだから」
「って俺の話聞いてるー!?」
「へいへいちゃんと聞いてるよ。19時に鳴木市のレストランに集合だろ?」
「そうだ!ちゃんと聞いてるじゃねぇか!!絶対遅刻すんじゃねえぞ!!有沢はともかく井上さんもくるんだからな!!」
「うるせーな、分かってるよ。じゃああとでなー」
「絶対だぞ!!絶対だからなーーー!!!!」



啓吾は一護の姿が見えなくなるまでずっとその場で叫んでいた。









16:40 一護の部屋


一護は自室のベッドに鞄を置き、時計を見た。



「まだ時間あるな…」



ガチャ


一護の部屋のドアが開く。


「一兄、遊子がケーキ何時頃に食べるかって」

部屋に入ってきたのは一護の妹・夏梨だ。

「ああ、ちょうどいいから今でいいぜ」
「今!?ずいぶん急じゃん?」
「悪ぃ、今夜出かけなきゃならなくてさ」
「まあもうできてるからいいけどさ、親父まだ帰ってきてないよ?」
「なら好都合だ、さっさと食っちまおうぜ」


一護はそれだけ言うと部屋を出て階段をおりようとする。
が、一護は一度足を止め、視線だけ夏梨の方へ向けた。


「夏梨…今日ルキアに会ったか…?」
「ルキアちゃん?見かけてないけど…何で?」
「あ…いや、何でもねぇ」
「…?」


一護は夏梨から目線を外し、階段を降りていった。


自分でも何故そんな質問をしたのか理解出来なかった。

今のところ一護の情報では、ルキアは一度も空座町に来ていない…










鳴木市 17:20




「フンーフフンーフフーフフーー♪フンーフフフフフフーーン♪」





鳴木市の商店街に一人、紙袋を下げた織姫が鼻歌を歌いながら歩いていた。


「うーん、やっぱ“ド”の位置はどくろ団がいいかなー、でもどぶろっくも捨てがたいしなーー…あれ?」

突如商店街の外れに霊圧が現れた。
その霊圧に覚えがあった。


「もしかして…!!」


織姫はその霊圧の主の元へ走って行った。






商店街の外れについたとき、織姫は笑を浮かべた。


「朽木さーーん!!!!」


織姫が呼んだのは小柄の死神。
死神は織姫の方を振り向いた。


「井上…!?そうか…ここは空座町の隣町だったな…」


振り向いた死神は朽木ルキア。
ルキアは少し驚いた表情を浮かべていた。


「久しぶり!!元気だった!?」
「ああ、なんとかな」
「良かったぁ!!私は見ての通りピンピンしてるよ!!朽木さん、今日は何かお仕事?」
「あ…ああ、ちょっと調査があってな…他の皆は元気か?」
「うん!石田くんも茶渡くんも元気だよ!黒崎くんももちろん!!そうそう、今日黒崎くんの誕生日なんだよ!!」
「そ…そうなのか…それは偶然だな」
「…?どうしたの朽木さん?」
「いや、どうもしないが…?」


織姫は会話しているうちにだんだん分かってきた。
ルキアは何かを隠しているような気がした。
特に根拠はないが、そう感じたのだ。








「…あ!!朽木さん!!その包み…」

織姫はルキアが隠して持っている包み紙の存在に気がついた。

「もしかして…黒崎くんへのプレゼント?」
「な…ち、違うぞ!!私は別にそのために現世に来たわけでは…」
「もう自分で言ってるよ?」
「…うぅ…」

ずばり図星を当てられたルキアは頬を赤くし、正直に包み紙を織姫に見せた。
包み紙はキレイに包まれていて、何が入っているかまでは分からなかった。

「井上…これを一護に渡しておいてくれぬか?」
「へ?私が?朽木さん本人が渡した方がいいと思うけど…」
「お前のその紙袋も一護へのプレゼントなのだろう?ついでに渡しておいてくれれば良い」
「そんな…朽木さん黒崎くんに会わないの?」

ルキアは少し寂しそうな顔をした後「ああ…」とだけ答えた。

「今の私があやつに会う理由もないだろう…」
「理由ならあるじゃん!!プレゼント渡しに来たんでしょ?」
「そうだが…どっちにしろ一護には私の姿は見えないではないか」
「あ…」

織姫は一護が死神の力どころか霊力すらも失っていることを思い出した。
今のルキアが一護に会いに行っても一護にはルキアの姿は見えない。


「そうだったね…じゃあどうやって渡すつもりだったの?」
「夏梨に会ったら頼もうと思ってな…居なければ一護の机にでも置いていこうと思っていたのだ」
「そうだったんだ。じゃあ私が渡しとくね」
「すまないな井上」
「ううん!!このぐらいお安いご用!!ところで何で朽木さん鳴木市に?」
「空座町に穿界門を開けば誰かしらに気づかれてしまうと思ってな…朽木家専用の穿界門で来たのだ」
「それで鳴木市に…」


わざわざそんな細かな作業をしてまで現世に来たことから本当にプレゼントを渡すためにきたんだな…と織姫は理解した。


「あ、じゃあ私そろそろ行くね!!」
「待ってくれ井上!!」
「え?」
「その…私に会ったことは誰にも言わないでくれぬか…それと、そのプレゼントが私からというのも伏せて置いてくれ」
「えぇ!?どうして!?」
「普通の生活に戻った一護の生活を邪魔したくはないからな」

織姫は何も言わなかった。
薄々気づいていた。ルキアは自分の名を名乗らないだろうと…


「うん、分かった」



織姫はただそれだけ言うと、ルキアと別れた。











鳴木市のファミレス 18:50



「おっせーーぞ一護!!!!あれだけ遅刻するなって言っただろ!!?」


一護を出迎えたのは啓吾を始めとする水色、たつき、織姫、チャドの5人。


「集合って19時だろ!?まだ10分もあるじゃねえか!!」
「早く始まり遅く終わるのがパーティーだろ!!お前男子高校生の青春エンジョイできてないだろ!!」
「青春と誕生会のなにが関係あるんだよ」
「とにかく一護、店の外で騒ぐと迷惑になるからさっさと入るよ」


たつきの一言で一同は店の中へ入る。



「さあ改めまして!一護!!誕生日おm」
「おめでとう一護!!」
「あああああああ!!水色!!またいいとこ取りしやがって!!」
「一護、おめでとう!」
「おめでとう黒崎くん!!」
「…ム、もう17か」
「ああ…そうだな。ありがとな皆」

祝の言葉を受け、一護はそれぞれの顔を見渡す。
こうやって誕生日を祝ってくれる仲間がいること。
それだけでも幸せだ。


「じゃあ一護!!今日は啓吾のおごりだから好きなもの頼んでよ」
「そうなのか?悪ぃな啓吾」
「え!?俺そんなの初耳なんですけど!?これ割り勘じゃねえの!?」
「浅野、さっきからうるさいよ。しゃべるならもっと面白い話してよね」
「そうだなたつき。啓吾、何か喋って盛り上げろ」
「なんで俺ばっかこうなるの!!?俺どんな役割なわけぇぇえええ!!?」






ファミレス前。
そこにはひとりの男が盛り上がる一護たちの姿を見ていた。

男はその場から歩き出そうとした瞬間…


「あれえ?一護ってやつ見つけたんじゃなかったのぉ?」

男に一人の少女が話かけてきた。
少女の隣には右目に眼帯をした執事風の男がいる。

「…来てたのか。リルカ、沓澤」
「何?来ちゃいけないわけ?自分は来てるのに?」

リルカと呼ばれた少女はその男を強く睨む。

「だいたい銀城!いつになったら行動するのよ!!その黒崎一護ってやつ見つけたならさっさと拉致って来ちゃいなさいよ!!」
「全くですな…」

沓澤と呼ばれた男もリルカの意見に賛成する。


「そんなに焦ることはねえ。だいたい今、あいつは死神の力は失っている。すぐに俺たちの力を消せるわけじゃねえだろ」

銀城と呼ばれた男は横目に一護たちの方を見た。

「だからこそ早く力取り戻させてやるべきなんじゃないの!?てかその一護ってどこのどいつ!?あの中にいるんでしょ!?」
「リルカさん…正確な時にこそ神は宿ります…急いでも得はないかと…」
「何よギリコ!!早いのがダメなら遅いのはどうなのよ!?」

「うるせえ、気づかれたらどうする」


気づくと銀城はリルカと沓澤の背後に移動していた。


「まだその時じゃねえのさ…焦る必要はねぇ、いずれあいつは俺たちの同志になる……行くぜ」



銀城はそれだけ言うと、一護たちがいるファミレスから去っていった。











空座町 21:00


夜道で一護は一人、皆からもらったプレゼントの中身を見ながら歩いていた。


「なんだこれ?『眉間にしわが寄らない笑顔の作り方』?こんな本どこで売ってんだよ…たつきだな」

一人ながらもプレゼント一つ一つにツッコミを入れたり驚いたりしながら帰り道をたどっていた。





同時刻、ちょうど一護の向かい側からルキアが歩いてきた。

「…顔だけでも見て行こうと思ったが…まだ帰ってきて居なかったか…」


ルキアは腕組みをしていたその片腕を腰に差している斬魄刀に手をかける。

するとルキアは前方から向かってくる一護の存在に気づいた。

「…一護!」

ルキアは一護の名を呼ぶ。
しかし一護にはその声は届かない。

「そうか…姿どころか声も聞こえないのであったな…」

ルキアは少しホッとしたような残念なような気分になった。


ルキアの存在に気づかない一護は織姫からのプレゼントを見ている時、紙袋の中にある包み紙に気づいた。

「ん?なんだこれ…?なんでこれだけ別に…?」

一護が自分が贈ったプレゼントに手をかけたのを見たルキアは一瞬、胸の鼓動が響いた。

「…私からの…プレゼントだ。きっと似合うと思ってな…」

ルキアはただ呟く。
無論、一護には聞こえない。


「…誕生日おめでとう…一護」

例え一護に声が聞こえていたとしても聞き逃してしまいそうなぐらい小さな声で呟いた。




一護が包み紙の中を取り出す。

それは太陽のような形をしたペンダントだった。
見たことのない存在。
まるで現世のものではないような雰囲気が漂っている。


一護が自分からのプレゼントを受け取ったのを確認したルキアは静かに斬魄刀を鞘から抜き、解錠した。

その場で穿界門が開く。

地獄蝶が飛んできて、ルキアは穿界門へ足を踏み入れる。


「じゃあな…一護…」



最後に一言だけ言うとルキアは穿界門へと消えていった。





「!!?」

一護は無意識に自分の背後を見た。

そこには誰も居ない…


「…何だ…今…誰かがいたような…」

一護はふと自分の手のひらにあるペンダントを見た。


「…そうか…お前からのだったんだな…ルキア」

見えない聞こえない会えない相手であるルキアからの贈り物。
根拠はないが一護はそう確信した。



「…ありがとな……ルキア」




一護はルキアの名を呟いた。

その時、一護は今日一日で一番気持ちが柔らかかった。





★あとがき★





一護誕生日記念小説!!
…って記念ってほどのものでもないですね。


本当に小説を書くこと自体が久しぶりすぎて文章がよくわからなくなってしまいました。(~_~;)
ゴメンナサイ…

とにかくXCUTIONが出せたので良かったかなあって(笑)
今度はジャッキーたちも出したいものです。



本当に本当に久しぶりすぎてゴメンナサイ!!
なんとかこれからも頑張っていきたいです。


一護!!誕生日おめでとう!!
早くルキアと再会してね!!!!



ここまで読んでいただき、ありがとうございました!!

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これ書いた頃は原作でまだ二人が再会する前ですね、ルキアが副隊長になったこととか髪きったこととかの描写がない()
でもってこれもまたXCUTION出したかっただけじゃね?←

果たしてジャッキーたちが出てくるイチルキ小説を今後私は書くのだろうか!?
乞うご期待!←




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